「CDデータ」誌に松浦亜弥のインタビュー記事。
上京して家族との別れ際に号泣してしまったという、ファンにとっては有名であろうエピソードや、昨年参加した幾つかのイベントについて語られています。「広い層の方たちの前に立てることができたので、すごく楽しかった。やっぱり、より多くの人に聴いてもらいたい、見てもらいたいっていう気持ちがあるんで、それができてうれしかったですね」とも。
ファンとは、多かれ少なかれ意識的、あるいは無意識的に対象の自立を厭い、良かれと思って囲い込もうとする保守的な傾向があるように思います。絶対化ゆえの他者排斥も同様です。他者と比較した時点で絶対ではなくなるのですから当然の心理でしょう。それは多くのことに言えそうですが、突き詰めだせば面倒なことになりそうなので深入りはしません。実に気味の悪い話なれど、それこそ「オラがアイドル」ばりの、決して大きな声では言えないみみっちい欲望は自分にも多分にあります。必ずしもそれが悪いことだとは思わないものの別に誇ることでもなし、かといって卑屈になったり、その裏返しで居丈高になったりすることでもなし。この点は留意しておきたいところです。
そうしたどうでもいい話とは関係なく、自然な感想を述べたにすぎないであろう松浦亜弥。同時に新曲の話題で「今年は20歳になる年なので、もっともっと視野を広げていろんな刺激を受けてたくさんのものを吸収していきたい。この曲をはじめとしていろんな挑戦をしていけたらと思ってます」とも述べています。上手く事が運ぶかどうかはわかりませんし、時には自分の如きファンが勝手に敷いた架空のレールから大きく外れることがあるかもしれません。しかし、開かれた存在であるためには、場合によってはリスクを承知で外れてみせることも必要になってくるのかもしれません。さてさてどうなることやら、いかんせん松浦さん飽きっぽいからなあ。訳のわからぬ期待を込めつつも、かくあるべしと息巻くことなく、もう半歩ほど退いてのんびり見ていけたらなあと思った今日この頃です。いまさらムリかもしれないけれど。


ところで、同誌の東京事変の特集ページにて松浦に対する言及がありました。『ブラックアウト』の曲説明の下りで「暗転の曲です。本当はあややに歌っていただきたかったんです。かわいい方が歌うイメージがあった」と。さてはガチだな。ともさかに曲を提供したのも互いに友人だったというのがきっかけらしいので、これはひょっとすると・・・というのはムシがよすぎますかそうですか。ともかく、ここまで仰られては聴かないわけにはいきますまい。椎名林檎の2ndアルバムで滞っているくせに何とも不純な動機ではありますが、この際きっかけなぞどうでもよろしい。これでゴリゴリな曲だったら笑う。
そういえば昨年、林檎と松浦の仲がいいと判明してから、林檎の兄貴であるところの椎名純平のライブを観に行きましたっけ。ディアンジェロに似た雰囲気を持つ1stアルバムが気に入ったから足を運んだまでで、それほど深い意味はありませんが。さほど顔は似ていなかったような気がします。ちと閉鎖的だったのが気に掛かったものの、途中で年代物のウーリッツァーが壊れるというハプニングがあって面白かった覚えがあります。こうなれば乗りかかった舟ですから、いつか東京事変のライブも観に行き兄妹制覇を果たそうかと思っている次第。だからどうしたという話ですが。