「歌ドキッ!」を某所からくすねてきて、とりあえずは松浦さんが出演した映像を一通り鑑賞させていただきました。
彼女がドリカムや広瀬香美を愛でているのはすでに明るみに出ておりますので、どこぞの心ある人のリクエストに応えて当番組で『サンキュ』や『ロマンスの神様』を披露したのでありましょう。そつなく歌い上げていたのは、目指したい方向のひとつでもあるからでしょう。が、ド歌謡曲であるアン・ルイスの『あヽ無情』や、八神純子の『みずいろの雨』の方が圧倒的にすばらしいのです。今のご時世めったにお目にかかれない歌詞「優しさに棹さして男はずるいわ」をガラッパチ寸前に歌い上げる前者、そして哀愁のメロディとラテンの黄金の組み合わせの後者ともに辛抱たまりません。彼女は歌謡曲でこそ妖しい輝きを放ちます。と言うよりは、リミッターを外すとあまねく歌謡曲になってしまうのです。自分がブルースやソウルとブツブツ言っているのは要はそういうことなのです、かどうかは知りませんが、改めて歌謡曲の人なんだなあと感じた次第です。つんくに最も近いのは松浦亜弥なのかもしれません。はたして喜ぶべきか悲しむべきか。


これも神の啓示であろうかと考え、まずはアン・ルイスのベスト番である『Best Selection』をレンタルしてきました(買えよ)。『あヽ無情』は、やかましい縦ノリなドラムが絶妙にアレな逸品でした。何はともあれ大変いい歌声でございます。ハードロックを思わせる大仰な音が横溢しているのは閉口しますが、山下達郎が関わっている曲だけ毛色が異なっています。アース・ウィンド・アンド・ファイアーそのまんまの『恋のブギ・ウギ・トレイン』と、竹内まりやが作詞・作曲しているレトロ趣味全快の『リンダ』が絶品です。また、ベスト盤ゆえクレジットがないのですが、アルバムを通してムダに演奏が達者だと思います。と言うわけで選考は難航したのですが、ここは心を鬼にして『グッド・バイ・マイ・ラブ』を外します。そこで松浦さんには、ダメ男を罵倒・嘲笑しまくる『女はそれを我慢できない』を歌っていただくことで閣議決定されました。久住小春が歌おうものならば、善良を標榜するPTA諸氏から子供の夢を壊したとか何とか抗議が殺到しそうな極悪曲であっても、松浦亜弥ならば・・・勘弁してください。