ハロコンエルダークラブを観に行ってきました。


安直な持ち歌交換には当初から懐疑的ですが、ハロコンに関しては、昨年の総勢70名で披露された『THEマンパワー!!!』を機に少しばかり肩の力を抜くようにしています。賢しらな意味付けを拒絶するかのような壮絶な光景、あの渾身のギャグはもしかすると他ではお目にかかれないかもしません。ハロプロ恐るべしと笑いを噛み殺しながら嘆息したものです。いまいちど横浜で『THEマンパワー!!!』を。
さて、ご老人クラブことエルダークラブの話に戻します。10代がいようが、エッグ諸氏がわらわらと現れようがエルダーなのです。ファン以外には到底理解不能な光景なり。いや、自分もよくわかりません。今回は、安倍・後藤・松浦を中心としてグループ分けが行われており、各自の持ち味に応じたコンセプトが決められていたようです。ある程度メンバーが固定されていましたので、どのメンバーにも見せ場があって、それでいてメリハリも利いていたように思います。これは小さくも大きな進歩ではないでしょうか。ところで、開演前のBGMがYMOだったのは、おっさんウェルカムという意味に解すればよろしいのでしょうか。
以下、ネタばれ。無意味に長い。


・全員集合
個人を認識できないよう番傘で姿を隠したままメンバーが登場し、メンバー紹介を兼ねた『女子かしまし物語』ではじまります。なるほど考えようによっては便利な曲です。和のイメージ。『恋のダンスサイト』での安倍・後藤がやたらカッコよく、当時をロクに知らぬことが少し悔やまれました。また、村田の滑り込みながらの「セクシービーム」が美味しく、しかも妙に似合っているのが素晴らしい。メロン記念日には変人しかいない。ごっちゃになって大人数が踊っている様子はハロコンならでは。何だかよくわかりませんが壮観です。


・安倍チーム
引き続き村田さんが美味しい。ちと冗長に思えた寸劇から『シャボン玉』に移行。柴田の歌声が印象に残ってます。これこそ暗黒舞踏会さながらに全員で踊り狂ったら壮観だろうなあ。『情熱行き 未来船』は恥ずかしながらはじめて聴きました。飯田が参加していた『聖なる鐘が響く夜』は、自分はいい曲だと単純に聴き入っていたのですが、当時のメンバーに深い思い入れを持つ人が多いと耳にしますので、その辺りはどうだったのでしょうか。『恋の花』は、自分がソロライブで聴いたときよりも更に良くなっていたような気がします。


・松浦チーム
前田・大谷に比べると保田・松浦の歌声がやや埋もれがちにも思えましたが、各々にたっぷりと聴き所がありましたし、何よりバランスが取れていましたので何ら不足はございません。精鋭の中に入れていただきありがとうございます。中でも前田はさすがといったところで、ミディアムテンポの曲において特に真価を発揮していたように思います。一人だけ別物といった印象。また、大谷の歌をじっくり堪能できたのも嬉しい。
大阪恋の歌』の冒頭セリフ部分は松浦が担当。比較的落ち着いた声の人が多いためか全体を通して大人っぽい雰囲気となっていました。大音量だと音質の悪さがより如実になってしまう『気がつけば あなた』ですが、松浦の歌唱に関しては相変わらず良い。『春の歌』のフェイク箇所は保田が担当、大いに魅せます。『春の歌』サイコー。最後に明るい『丸い太陽』を持ってくるのも心憎い。意図して選曲したであろうテンポ遅めの曲が地味ながらも映えており、歌で魅せるコンセプトはひとまず成功だったのではないでしょうか。聴き応えがあって良かった。


後藤組チーム
オリジナルのどこか隠微な趣きはどこへやら、妙に陽性なエロを展開していた『肉体は正直なEROS』。稲葉・斉藤が怖いくらいに気合十分。ところが、下段に残った後藤が一人寝転がり、ストリップをも彷彿させる艶めかしい姿態・仕草を披露し、雰囲気が一変します。思わせぶりに指先を地に這わせる様子がスクリーンにアップで映し出された際には、つい笑ってしまいましたが。これ企画段階からおもいっきり楽しんでただろ。彼女の抜群のスタイルもあってか、エロいというよりはむしろカッコいい。新曲の『今にきっと…In My LIFE』は久々のアップテンポで、後藤の小気味いい歌声とコーラスが印象的。『DANCE DANCE DANCE』のダサカッコいいオケヒ連発の箇所は、それに応じた振り付けがビシッと決まっていてお見事でした。番傘を用いたパフォーマンスもそうですが、彼女が中心にいると一本芯が通るような気がします。後藤チームは歌える上にダンスパフォーマンスでも魅せます。


・再び全員集合
『奇跡の香りダンス。』で、まず安倍が一人で登場して観客を煽ります。奇妙なほどに違和感がなく却って新鮮でした。恐るべし。『そうだ!We're ALIVE』では、コサックダンスの箇所でフラッグを用いたパフォーマンスを披露。そして最後は『I WISH』。松浦がモーニング娘。の曲に参加すると、どうしても不思議な気分になってしまいます。「笑顔は大切にしたい」箇所の高音がしっかりと出ていて一安心。これは欲目にすぎないものの、ハロ☆プロパーティーの経験が生かされたのか、松浦は全体的に程よく溶け込みながらも、存在感は失ってはいなかったように思います。ムラッ気のある彼女ですが、体調が良かったのか声がよく出ていましたし上々だったのではないでしょうか。楽しそうにしていて何よりでした。


バカ高いチケット価格を含めて細かいことを言い出せばキリがなく、また、どうあっても狭義におけるカラオケライブには違いありません。しょせん内輪の論理にすぎないとは承知してはいますが、その思いとは裏腹に十分に楽しめました。構成のためか各メンバーの歌声がはっきり認識できて発見が多かったのと、そのパフォーマンスの良さが大きかったのかもしれません。何をどう言われようともハロプロは歌ってなんぼだと自分は思ってますから、その点が満たされたのはでかい。これから徐々に好転していきそうな気配を感じた、と言えば楽観にすぎるでしょうか。ともあれ、迷ったけれど足を運んで良かった。満足です。贅沢言えばコーラスが強化できればなあ。コーラスこそ堅実な歌唱力がなければ勤まらないものだと素人ながらに思っているのですが、少しばかり手間をかけさえすれば一層いいものになるのでは。誰でも結構です、次回以降に勝手に期待しちゃいます。ああ泥沼。