先日NHKで放映された「夢・音楽館」でのあやや嬢のパフォーマンスについて、各所で盛んに解説されています。素人である僕では歯の浮くような言葉で絶賛することしかできませんので、今さら言及するつもりはありません。
多くのサイトで生演奏のライブが見てみたいと述べられています。このパフォーマンスを見れば、そう思うことはごく自然なことでしょう。僕もその内のひとりです。


しかしながら、生演奏を希望する意見には同意しつつも、ヲタ芸の下りについては疑問が残ります。
本来ありうべからずカラオケライブという形式を、観客側で容認しているのではないかとの批判が以前よりなされています。確かに、ヲタ芸はカラオケでなければ成立しえないものでしょう。それ以上に、CD音源の再現を頑なに強いる現在のライブが既に飽和しているのは間違いありませんし、彼女に限ったことではなく歌い手である以上、そのことで得るものは極めて少ないのではないかと僕は思っています。


けれど、僕は彼女に高尚なことをしてほしいとは思っていません。金銭と時間を惜しみなく注ぎ込めば、高尚さを求めることは容易でしょう。難解さを追求し、一部の者にしか理解できぬ自己満足に終始すればいいだけなのですから。しかしながら、当方の勝手な思い込みであることは承知していますが、それが彼女の思惑と一致するとは思えませし、彼女が目指す地点にあるとは思っていません。
いくらサイト内で主張されたとしとも、彼女は紛れもなくアイドルなのです。「歌が上手い」との理由はもちろんのことですが、「夢・音楽館」への出演は、彼女がアイドルだとみなされているからこそ実現したことでしょう。「アイドルなのに出演させてもらえた」わけではありません。NHKあやや嬢を推す理由には、純然たる歌謡ポップスの復権を望む思惑が含まれているようにも思えますし、それは今をときめくアイドル松浦亜弥だからこそ、期待されていることでしょう。アイドルであることは、時にプラスにもマイナスにも作用するのではないでしょうか。
だからこそ、アイドルであることを最大限に生かし、あくまでポップスの枠組みを著しく逸脱しない範囲にとどまってほしいのです。誰からも愛される歌い手であってほしいのです。


話が逸れました。本来、ライブは生演奏が常識だと思うのです。そうした僕の思い込みを前提とした場合、生演奏が似合うだとか、カラオケを卒業すべきなどの言及は矛盾することになります。僕のように楽器ができない者にとって、演奏者は尊敬の対象でありまして、本来贅沢なことであるとは知りつつも、決して生演奏が稀有なことだとは思っていません。
楽曲・演奏と共に歌は練り上げられていくものです。歌を最大限に彩るものも同様であり、その逆も然り。むろん意図して避ける場合もありますし、舞台にまで話を広げると収拾がつかなくなります。そのため、カラオケ自体を完全に否定するわけではありませんが、それでも原則として当てはまるものだと思ってます。


歌を中心に据える以上、彼女のみではなく、カラオケがお似合いな歌い手など存在しないと思うのです。たとえ演奏に気圧されていたとしても、それを理由として短絡的に完全なカラオケライブに移行することなどありえるでしょうか。
あまり金銭的なことは言いたくないのですが、ハロプロ関係のチケットは相対的に高価だと思います。もちろん外部からでは窺い知れない様々な要因が絡んでいるでしょうから一概には言えません。けれど、それを下回る価格でより濃密なライブを行うバンドなり歌い手も数多く、不幸にして陽の当たらないミュージシャンを含めると、その数が膨大なものとなることは動かぬ事実です。
その点からして、現在のありようは、提供者側の怠慢であるとしか思えません。その主要因は一日二公演にあると個人的に考えています。現状である程度まで会場が埋まっているらしく、それは嬉しい反面で悩ましい点でもあります。観客数がある程度見込める以上、提供者側としてはリスクをおかして生演奏に切り替える必要性など感じないでしょう。ではどうすればいいのかと考えるのですが、まだ自分の中で結論が出ずにいます。


もちろん、オーケストラやビッグバンドを従えたライブを見てみたい気持ちはあります。それをして直ちに最上とみなすわけではありませんが、限定的なものであれば喜んで受け入れようと思っています。しかし、一部の観客の満足、たとえばヲタ芸を排除する方向で強く望まれるのであれば、僕はそれを否定せざるをえません。価格設定も含め、気軽に足を運べない雰囲気になり、その必然として一部の者の先鋭化を招く事態を危惧します。これは自戒でもあります。
繰り返しになりますが、形態はどうあれ生演奏は本来当たり前なことだと思っています。それはあやや嬢自身のためであり、また足を運ぶ者の全てに作用してはじめて素晴らしいライブになりえるのではないでしょうか。ヲタ芸を嫌悪することで、それをあえてしない者が特権者になってはなりません。もちろん限度はありますが、楽しみ方は千差万別であり、ヲタ芸が現在の盛り上がりに貢献していることは否定できないのですから。


ちっともまとまりませんねぇ・・・。とりあえずアップしておきます。