僕らの音楽

ステージの中心で伸びやかに歌うaikoの姿を見ました。やや緊張した面持ちでありながら、ときおりフェイクを織り交ぜつつ、にこやかに周囲を見渡す彼女の粋なパフォーマンスが印象に残っています。
aikoの書くメロディーや使用されるコードが風変わりなのは以前から指摘されていることですが、今回歌われた『かばん』のメロディもやはり独特だったように思います。それにしても驚くべきなのは、ひねくれたメロディーを純粋なポップスに昇華させる彼女の非凡な才能。そして、奇を衒うことなく真っ直ぐに歌い上げることのできる確かな歌唱力。簡単そうでいて実は難易度の高いメロディーを、情緒過多に陥ることなく、また歌の上手さをひけらかすことなく小気味よく歌い上げる力量は相当なものだと思います。


番組内のインタビューで、鳥越氏に10年後のことを尋ねられていました。来年のことすらわからないのに10年後のことなど考えたこともない、と彼女は言います。大丈夫、貴女には既に竹内まりやのポストが用意されています。きっと息の長い歌い手になることでしょう。むむっ、そうなると気がかりなのは、将来の旦那選びか・・・。


4ビートを刻むだけのギター奏者。その地味な存在に焦点が当てられていたことが個人的にツボでした。彼がいなければジャズの軽やかな雰囲気は出なかったでしょう。いい演出でした。多少堅苦しくはあるけれど良質な音楽番組だと改めて思いました。