あまり大きな声では言えませんが、アルバム発売記念イベントの歌部分のみならずトーク部分もくすねてきました。ありがたやありがたや。MCを務めたヨッピーがヲタすぎて泣けます。
行ってもいないくせにムダに長い。


「ダブルレインボウ」ツアーの話。
今ツアーのリハーサル期間が6日間だけだったと述べています。それが短いのか適切な期間なのか知りませんが、松浦さん自身はリハーサルがあまりお好きじゃないらしく、ひとりさっさと切り上げようとするのでバンドは大変だそうです。さもありなん。
大阪ではじめて見物したときに、いささか演奏がたどたどしく感じられたので準備不足を懸念したものですが、加えて、変則的で中途半端とも思える形態を採ったことや、原曲に忠実な演奏だったことも納得できた気がします。いやいや、またぞろ理不尽なイチャモンをつけたいわけではありません。歌手・松浦亜弥を前面に打ち出した過去最高の「進化ノ季節・・・」を踏まえた上で、今ツアーは彼女のポップな側面を強調してみせたエンターテイメント性の高いライブになっていると思います。ことさらに小難しく見せないのもまた経験のなせるわざでしょう。誤解を承知で言えば、どちらにも針を振ることができる中庸が彼女の魅力だと思います。つまり振り切れはしないということでもあるのですが、両方を観て両方ともに物足りなさを感じるのであれば、残念ながらご縁がなかったということでしょう。
ちなみに自分が見物した東京厚生年金会館の夜公演では、演奏の質が上がっていて安心しました。大阪とは印象が違うなあと思ったら、リズム隊がおなじみの長堀・千ヶ崎ペアに変わっていたのでした。この二人好きです。彼らの演奏に呼応したのでしょうか、今にして思えば荒っぽく感じられた松浦さんの歌声もみちがえるように柔軟になっていました。進化や成長という大仰なものではなく、メンバーと共に呼吸できている感じとでも申しましょうか。公演を重ねたからこそ、ようやく生まれはじめた一体感でもありましょう。これがバンドの良さですね。


ボイトレの話。
歌声が1年半くらい前から急に安定したように感じて、レッスンにでも通いはじめたのかなとの感想を以前に記しました。実際、出たとこ勝負だった時期に比べると高値安定の状態が続くようになったと思います。そのため、ひそかに我が自説ならぬ妄想に自信を深めていたのですが特に通ったことはないそうです。己のバカ耳を信じてしまった自分がアホでした。
ボイトレは先生によってクセがあるらしく、興味はあっても自分に合った先生にまだ巡りあえていないとのことです。声量に少し余裕が出てきたような気がしていたのですが、さりとて特に練習したわけでもないらしく、要は気持ちだよ気持ちの一言で片付けられてしまいました。そういうもんなんですかね。プロの矜持ゆえの秘めごとか、はたまた単なる事実か。バカ耳は信用できんからやはり後者かな。
ボイトレは場合によっては個性が失われることがあるとの話を耳にしたことがありますし、また、大塚愛がデビュー前に熱心に通っていたとかいなかったとかいう話を聞くに及び(別に嫌いじゃないよ)、自分の方向性に合致するのであれば別にどっちでもいいんでないの、というのが正直な感想です。そもそもボイトレがどのようなものか知りません。
なにをして良い声と感じるかは十人十色、うまければいいという単純な話でもなく、そこに正解などないでしょうから本人としては楽しくもあり悩ましくもありといったところでしょうか。「自分が欲するものは他者から与えられることでしか手に入れることができない」という受け売りを狭義の意味で援用するならば、個性を真っ直ぐに伸ばせる肌の合う先生が見つかったなら、また本当に探す気があるのなら、一度レッスンに通ってみるのも面白いかもしれませんね。もちろん自分が面白がります。
ところで、歌手・俳優業をこっそり営む知人がなぜかおりまして、あるとき「うまいなあと思う日本の歌手は誰?」と間抜けな質問をしたところ、興味のない人や意外な人の名前がずらずら挙がって、ああそういうものなのかと思ったことがあります。関心がなければ耳にしていないも同じなのだと知ると共に、着眼点に違いがあるという当たり前なことも今さらながらに知りました。そこで恐れ多くも自分の好みを伝えてみました。憐れむように肩をポンと叩かれたのはなぜでしょうか。


『ダブルレインボウ』の話。
『blue bird』の間奏のハミングらしき部分は、レコーディング中に松浦さんが何気なく口ずさんだものを聴いたコモリタさんが後で付け足したものだそうです。コモリタさんの曲は、アレンジがポップですしメロディーもシャレていると思いますので、ここは末永いお付き合いをお願いしたいところです。ついでと申しては失礼千万ですが、Caravanなぞも呼んでいただければ望外の喜びです。ええ、ただ『ハミングバード』と言ってみたかっただけです。
あと、当アルバムの傾向をして事務所の体質のせいだと勝手に決めつけていましたが、トークを聞く限り、あまり関与してないような気がしてきました。まずは、好みのアルバムや曲調を事前にディレクターに伝えて意思表示をしていたこと。次に、最近カラオケでよく歌うのが、ドリカム、ユーミン小泉今日子中山美穂寺尾聰らという、あいかわらず年齢不詳なところ。そして、松浦さん自身が己の美学を以って選曲に参加しているであろうこと。この関連がありそうで別になさそうな3点を総合すると、『引越せない気持』が小泉今日子っぽく、そして珠玉の『ソウルメイト』がスティービー・ワンダーエビアンで薄めた風に聴こえてきました。そうなのか。あとは推して知るべし、っていうかわかりません。欲を言えば、その流れでモータウン調の曲があると面白かったかもしれません。
ただ、サブプライム何ちゃらも原油高騰もなんのその、乱高下とは無縁のナチュラルさを誇る安倍さんに突然『Too Far Away』を提供した前科がありますので、これとは比較にならぬほど昭和ロマンに汚染された至宝の『22才』を、松浦さんが22才になった記念にと、あるいは『風信子』の続編と称して提供する可能性も捨てきれません。しかも都合がいいことに歌詞が元から女言葉であります。

白いシーツをまきつけ 背中でサヨナラの
悲しい別離を感じてた 窓の外は光る海
やさしさとか愛だとか 綺麗な言葉など
信じれる程 若くはない
それは知っていたけれど

22歳になれば少しづつ 臆病者になるわ
何故か分かる?貴方
私の髪の煙草の匂い 消えるまでの思い出ね
私の髪の煙草の匂い 消えるまでの思い出ね


作詞:谷村新司 作曲:谷村新司 唄:谷村新司


あかん、これはあかんでー。
そういえば、いつか絶対やるだろうと思っていた珠玉の『忘れていいの』のデュエットで、過去に白羽の矢が立ったのは後藤さんでした。復帰曲が当曲であれば、夜な夜な枕を濡らしてみせます。なお本人ご出演のカラオケの映像は笑えます。ついでにそういえば、言い得て妙だと密かに感じ入ったのは、松浦さんの歌をして『昴』のようだとくさしていた文章でした。わからなくはない。ああ、全ての曲が(谷村新司が歌ってるのは『Far Away』)脳内で完全再現されてしまう自分の年齢がわからなくなってまいりました。カラオケで素人が自分に酔いながら歌った日には翌日から村八分になるのが浮き世の掟であります。勘弁してください、もう一生ついていきますから。


教訓:谷村新司は忘れた頃にやってくる