『砂を噛むように・・・NAMIDA』購入。とりあえずの感想を。


演奏者のクレジットがありませぬ。わかりもしないのに周辺事項を無意味に面白がり、これ幸いとその演奏者のライブに足を運ぼうと企む自分にとっては一大事なり。そうでもない。その関係で初めて観に行ったのは渡辺チェルが所属するSOHバンドでした。当時、『LOVE涙色』の執念の打ち込みに感激していたような気がします。が、いざ蓋を開けてみるとデロデロのプログレジャズ、とでも申しましょうか、さっぱりわかりませんでした。どうでもいい。外注の場合は皆そうですが、権利関係上で何かまずいことでもあるのでしょうか。ドラムが誰か知りたかったのに。一方で、ストリングスのアレンジには服部隆之が記載されています。生演奏ならではでしょうか、思っていた以上に流麗で、嫌味なくドラマチックとなっていました。素晴らしい。
カップリングの『ハピネス』を一聴してまず思い浮かべたのはキロロ。メジャーキーのミディアムテンポ。それを受けてか、『砂を噛むように・・・NAMIDA』同様、さらに言えば『Fork Song2』をも彷彿させる伸びやかで素直な歌唱となっています。リズムに関してもまた然りで、意図的に松浦節を抑えているような趣き。また、彼女も参加しているであろうコーラスも、ささやかながら印象に残ります。ところで「あなたが必要〜」箇所における、字余り気味なフレーズ直後の「I Need You」なるコーラスは、もしや英訳しただけではあるまいか。


パッと聴きではどちらの曲も無要な刺激音がなく、前作、前々作に垣間見られた如何にもな過剰さは見当たりません。いささか薄味だと思わぬでもないものの、オーソドックスで丁寧に作られているような気がします。松浦亜弥の名を伏せて発注し、幾つかの楽曲の中から選ばれたという話の全てを鵜呑みにしているわけではありませんが、別に何でもいいや。各雑誌のインタビュー、柔らかな音色、歌詞などから察するに、もしかすると同世代、あるいは少し上の女性層を意識した作品となっているのかもしれませんね。気に入った。これからゆっくり聴いてみます。