BONNIE PINKの新譜アルバム『Golden Tears』をレンタル。買えよ。
いつの間にやら10周年を迎え、当アルバムは8作目となるそうです。特段ファンというわけではなく、スウェデッシュ・ポップが流行っていた頃の作品しか耳にしたことがないミーハーな自分が言うのもアレですが、今も昔も変わらずクオリティが高そうです。ポップであろうとする姿は、セールスや知名度に違いはあろうけれど、現在のYUKIと重なる面があるような気がします。ボニー・ピンクの方が内省的であるためか、YUKIほど突き抜けてはいないのかもしれませんが。キーボードやストリングス(なぜかシタールも)を取り入れているため、曲によっては音数が少なくないにも関わらず、すっきりとした印象を受けるのは、例によってトーレ・ヨハンソンが関わっているからなのでしょうか。生演奏の乾いた触感を残しつつも密かに手が込んでいそう。そして何よりも歌がいい。物憂げな中にも軽やかさがあって、ウネウネと、あるいは跳躍する歌謡曲的な匂いの希薄なメロディーを鮮やかに紡いでいます。偶然目にした「僕らの音楽」で、地声と裏声の境目がはっきりしていてすぐに裏返ってしまうのが自分で気に喰わない、といった内容のことを述べていましたが、言われてみればそんな気がしないでもないけれど、詳しいことはわかりまへん。なお、ライブ盤ではドスが利いていて、かつ前のめりなので若干印象は異なるのですが、アルバムとライブが同一である必要はないと常々思っていますので、こちらもいい。たまにで結構なので、松浦さんにもこういう曲を歌ってほしいなあ。ちと難しそうだけど。


もうひとつ。WILLIE ORGAN。どこの誰だか知りませんし、中途半端な知識は邪魔くさいだけなので敢えて詳しく調べはしませんが、なにやら群馬の男二人組のユニットとのこと。帯にはニューウェイブの文字が躍ってまして、事実、ドカドカスカタンとした打ち込みリズムの上で、シンセの音がピャーピャーピコピコ鳴っていて、ときおりノイジーなギターが加わります。軽妙な音のスカスカさと、活きがいいんだか悪いんだかわからない高音の歌声の掛け合いがツボです。ひねたメロディもさることながら、ダサさスレスレを狙った確信犯の如き佇まいは、世が世なら渋谷系として括られる類いのものかもしれません。とはいえ、その括り自体にはさほど興味もないのですが、capsule辺りとはまた質を異にする気がしないでもなし。以前なら苦手の一言で不遜にも放り投げたかもしれないけれど、妙にクセになるのはなぜだろう。自分も少しは柔軟になってきたということかしらん。単に訳がわからなくなってきただけかもしれませんが。