愛・地球博の閉会式に松浦亜弥が出席。そういえば、春ツアーで愛知万博前夜祭と銘打たれたライブに足を運びましたっけ。一方がいささかフライング気味とはいえ、この大規模なイベントの幕開けと幕引きを彼女が受け持つことになるのかと感慨深くなりました。


厳粛に進行される式典。皇太子さまや小泉首相など居並ぶお偉方、そして国際色豊かな面々が集う中で、さも意味ありげに『Year!めっちゃホリディ』を披露したならば、偉大なる愚挙として末代まで語り継がれることは必定。ええいやってしまえ、などと期待するはずもなく、さすがにお呼びではあるまい、それでも少しくらいは映るかもしれぬとテレビを眺めておりました。万博の趣旨に即した、体がむずかゆくなるような寸劇はあったものの(それでも感激しましたが。竹下景子さんが驚異的に若々しい)、他にはモリゾー君の目つきの悪さしか見所がなく退屈していたのです。
ところが、予想に反して松浦亜弥はやってのけました。大編成の合唱団とオーケストラをバックに、万博のテーマ曲『Friends Love Believing 〜EXPO2005』をこの大舞台の中央で、しかもオオトリで高らかに歌い上げたのでした。いかな盲目の自分でもそこまで思ってはいませんでしたので、そのとき口にしていたコーヒーを思わず吹いちまいました。こりゃえらいこっちゃ。突如として顕現した、にわかには信じがたい光景に目が釘付けとなります。この日は朝早くからリハーサルで緊張し通しだった、と後日のラジオ番組で述べていたものの、そんなことは微塵も感じさせません。彼女より歌える人はゴマンといるだろうに何故?という疑念も吹き飛ぶ堂々たるパフォーマンス、良い意味でそつのない歌唱。素晴らしい。なお、歌詞飛ばしか否か判断に迷う場面がちらほらとあったことは気にしないでおきましょう。仮にそうだとしても、さもそこには歌詞がないんですよと言わんばかりに何食わぬ顔でやり過ごした、その図太さを褒め称えるべきなのです。笑とけ笑とけ。すごすぎるよ松浦さん。おかげさまで「モリゾーとキッコロは元気に暮らしています」という、よくわからないナレーションで不覚にもウルッときてしまいました。そこかよ。
ANN内で、べらんめえ口調で地のまま不遜に喋りたおす、フツーのネーチャンの如き姿は偽りであったのでしょうか。否、どちらも彼女なのでしょう。プロですなあ。いかなる経緯で今回の決定に至ったのかは知る由もありませんが、歌い手として一歩階段を上るきっかけとなるかもしれませんね。かといって軽やかさを放棄してほしくはないけれど、彼女のことですから心配には及びますまい。いいもの見せて頂いてありがとうございます。改めて敬意を表する次第です。