田村夏樹(tp)・藤井郷子(acc)・津村和彦(g)・是安則克(b)のライブを音や金時で観てきました。半ば以上は田村夏樹が目当て。トランペットと意味不明な彼のつぶやき声だけで構成されたアルバム『コココケ』は、『THE マンパワー!!!』を凌駕する怪作だと思います。お勧めはしませんが。
その日演奏された音楽が自分の聴き慣れない類いのものだったので、何とも言葉にしがたいのですが、東欧的というかジプシー風音楽といった風情で、おそろしいまでに地味、かつ滋味でありました。ピアニストの藤井郷子の奏でるアコーディオンと哀愁漂うギターの音色のせいか、何ともうら寂しい、けれど仄かに温かく芳醇な空間が生成されます。人間の喋り声を彷彿させるトランペットの音色も絶品。編曲の複雑さゆえに即興との境目が今ひとつ判然としなかったものの、よくよく聴くと様々なことをやっていたようで、ただのムード音楽に堕すことはありませんでした。とは言っても、盛り上がらないようでやはり盛り上がらない、というか盛り上げる必要がない類いの音楽を聴き続けるには自分はまだ血の気が多くガキでもあるようです。そのため途中で睡魔に襲われることもありましたが、そうした点も含め、たまにはこの手の音楽もいいものです。機会があれば藤井郷子オーケストラでも聴きに行こうかしらん。