ポップジャムの生放送スペシャルで松浦亜弥の『ずっと 好きでいいですか』が初披露されました。
大物じみたオーラをビシビシ放っているというか胸でかいというか何というか。しかも故郷に凱旋していることもあって、番組の随所で朗読があったり、オオトリを務めたりと完全にVIP扱い。なんだこれ。25歳疑惑を自身でネタにする憎たらしいまでの図太さを発揮しはじめて久しい彼女ですが、確かに18歳には見えません。それでも歌い終わった直後の安堵の表情や、緊張から解放された際に見せるデビュー時から変わらぬ手の仕草に年相応さを垣間見て微笑ましくなってしまいました。キモいなぁ。


ファンの吐く怨嗟の声を知ってか知らずか、バラード・ミディアム調が続いた昨今ですが、歌唱に関しては、現状における総決算と呼んでも差し支えないのではないでしょうか。つんく節が払拭されて素直に声が伸びていましたし、抑制も効いていたような気がします。リズム感や音程の安定感に秀でているのは以前から薄々気づいていたものの、今さらながら凄い人だなぁと感じ入って姿勢を正した次第です。その一方で楽曲に関しては、彼女が気分よく歌えることを最優先しつつも、それでいて易きに流れまいとする意思は感じられました。が、良い曲のようでいて実はフツーの曲っぽい。硬質な打ち込みやストリングスの用い方など、決してそれ自体が嫌いなわけではないのですが、総じて現在のハロプロサウンドの以上でも以下でもないという印象。それを彼女が力技で海面上に引っ張りあげたと表すれば当たらずも遠からずといったところでしょうか。CD音源で聴いてみなければ何とも言えず、まぁいずれ臆面もなく絶賛することになるとは思うのですが、かねてより懸念していた楽曲と歌声の物理的・聴覚上の乖離は、今作でも留まることがないような気がします。つい楽曲に矛先を向けてしまうのはファンの被害妄想でしょうか。いずれにせよ、「表現力」という何だか得体の知れないものを追い求め、上手いだけの歌い手にならないよう、個人だけで考えるならばそろそろ実験も兼ねて本格的な外注を所望したいところであります。なんか偉そうだな、自分。
先日ひょんなことから原田知世のアルバムを聴く機会があって結構好みでしたので、トーレ・ヨハンソンに依頼してみて、そこで肩の力を抜いた松浦の歌声を堪能するというのはどうでしょう。安直ですかそうですか。ついでに申しますと、いよいよビッグバンドの似合う歌い手になってきたような気がします。DOUBLEが一部ビッグバンド編成でジャズのスタンダード曲を含む企画物風のアルバムを出しているのですが、それもあながち夢ではなくなってまいりました。そんなわけで、松浦亜弥のベスト盤のボーナストラックは『100回のKISS』のビッグバンドバージョンでお願えします。むせび泣きますから。絶対ないけど。どうしても1stアルバムや初期c/wが突出しているように思えてならないけれども、そもそもがファンのためだけにあるものではなし、正直なところ何でもいいっすよ。とか言いつつも『YOKOHAMA SING A SONG』、『そう言えば』、『可能性の道』のどれかは入っていてほしい。初めはこれで投票するつもりでした。未練タラタラ。