うかつにもグレンミラービッグバンドの生演奏があるものと盲信していたので、一切の下調べを放擲し日本橋三越へ出向いたのですが、何のことはない只の展示会でありました。自分を誘った友人も詳細を把握してはいなかったらしく、おかげで朝も早よから二人して呆然とする羽目となりました。タダでなければぶん殴るところでした。道理で時間が早いわけだ。


その展示会にて、グレンミラーが戦場の兵士達に熱狂的に支持されたという事実を知りました。当時最高部類のダンスミュージックだったであろう彼の音楽、いえ、彼に限ったことではないのでしょうが、いずれにせよ第二次世界大戦時においては、一部の音楽に戦意高揚の意味合いが色濃く付されていたことが資料から推察されました。そして、彼自身も戦場で還らぬ人となったそうです。ここで繰り返してはならぬことだ云々と続ければ、下らない良識人のような顔ができそうではあるけれど、そもそも本日の催し物の趣旨は明らかにそこにはなく、また、そんな殊勝なことは思いもしなかったのでなかったことにします。まぁ、グレンミラーのファンであれば、彼が生前に利用していたトロンボーンに見とれたり、展示されていた手書きの譜面に感動を覚えたりもするのでしょう。が、自分は興味なし。なので、家族構成とか説明されても困ります。
それだけで終わるはずもなく、やはりライブが用意されていました。小学生4〜6年のみで構成されたビッグバンドが。えー、なんでもアメリカで開催されたグレンミラーの催しに招待されたツワモノ集団であらせられるようで、しかも彼、彼女らは全国から選抜されているわけではなく、全員が鹿児島の一小学校の生徒様でいらっしゃるとのこと。やたら観客の年齢層が高かったため、外観は学芸会さながらの様相を呈しておりましたが、いざ実際の内容に目を転じれば、年齢にみあわぬ相当達者な演奏であったように思います。さすがに個々の音はヘロヘロでしたが、各セクションの息はピタリと合っていましたし、ソロ同士の複雑な掛け合いは見所がありました。サックスとフルートの両刀使いも存在。十分に聴き応えがありましたので、それ以上自分の如き者がとやかく言うのは野暮というものです。いやホント、驚きました。すごいもんです。その中でも目を引いたのは、トランペットのソロを吹いていた少年。そのふくよかな音色は頭一つ抜けており、年齢を抜きにしても、かなりのものでなかったろうかと今になって思い出した次第です。知らんけど。
あと全く関係ないけれど、つい脳裏にちらついてしまったのがBerryz工房ハロプロキッズ達。彼女達を追っかける男たちの姿というのは端から見れば、さぞ異様に映るのだろうなぁと改めて思ったのでした。松浦亜弥のファンである自分なので偉そうなことは言えませんし、考えるまでもなく、どっちもどっちではありますが。


そんなわけで、知らなかったとはいえ小学生のバンドをシゲシゲと見てしまったことに苦笑いを浮かべつつ、終演後は二人して秋葉原・神田周辺をぶらつきました。本日12月23日はお日柄も良く、また土地柄のせいもあるのでしょうか、右翼青年団キリスト教関連の団体があちこちで静かに火花を散らしておりました。いつにも増してやかましい。さらなる苦笑いを表情に刻みつつ、結局はテキトーに杯を交わした後に帰宅したのでした。実りがあったのか無かったのか、いまひとつ判然としない休日。