Coccoの新曲が届きました。絵本作家になりたい、その言葉を残してスポットライトのあたるきらびやかな表舞台から駆け下りたCocco。『ガーネット/セレストブルー』は、彼女の2作目の絵本『南の島の恋の歌』の購入者限定シングルCDです。絵本自体にはそれほど関心がないけれど、その限定CD目当てに購入した自分のような人も少なくないのではないでしょうか。不定期ながらもこうして彼女の歌声を聴くことができるのは、ファンにとっては嬉しいことです。


丸くなったなぁというのが第一印象です。掴みかけた刹那に手中から零れ落ちるものを歌にする行為に変わりはありません。居丈高に訴えかけることなく個に徹するからこそ帯びる普遍的な輝き。それは衰えることを知らず、むしろ以前よりも強度を増したような気がします。
現在の活動を継続しつつ沖縄に在住する限りは、かつて鬼女の如く髪を振り乱す姿が再現されることはないでしょう。清濁を併せ呑みきれず、相反する感情の両端を絶えず行き来した姿が目に見える形で表れることもないでしょう。そこに寂しさを覚えないでもないですが、それもCoccoであるのかもしれません。今の時点でアルバムが製作された場合、以前とは随分違った作品ができあがるような気がします。いつの日か聴いてみたいものです。今という座標軸にとどまらず未来へと伸びゆく開放の歌を。

笑ってくれますよう
まるで小さな歌を


放つよ


『セレストブルー』 Cocco