Japan Blues Carnival 2004@CLUB CITTA' (弐)


瑣末事などガハハハと陽気に笑い飛ばす肝っ玉母さんを思わせる風貌のメイヴィス・ステイプルズが登場。MCのゴトウゆうぞう曰く、彼女はゴスペルの歌い手として有名だそうです。
ある程度聴き慣れていないと喉の調子が良いのか悪いのか判断に困る野太く迫力あるダミ声は、まさしく黒人の歌い手特有のものでありましょう。耳朶を打つ包容力ある歌声と、有無を言わせぬ力を宿すシャウト。それらは、野放図に湧き出づる生命を彷彿させ、そこに現出する陽光を浴びていると自然に幸せな気分になります。そして、心浮き立つリズムに乗せた親しみやすいメロディーや、立派な体躯を震わせて歌声を搾り出す姿に自然と笑顔が零れます。
また、巨体をしきりに揺り動かして手拍子を求めたり、観客にマイクを向けて参加を促したりするなど、彼女は最後までエンターテイナーでありました。些細なことではあるけれど、「カワサキカワサキ」と嬉しそうに話し、片言の日本語を披露する姿に、彼女の実直さを垣間見たような気がしました。
ここからバンドとしての一体感が如実に変容します。奔放に演奏しているように見えながらも各々が見事に機能しており、その結果として広がりのあるグルーブが生まれていました。その他に、溢れる情感を抑圧してディープに歌い上げるバラードで見せた、静謐で濃縮された演奏も強く印象に残っています。タイトかつ重厚、特有のタメを感じさせるドラマーの演奏が秀逸でした。


次回につづく・・・のか?