星々の瞬きが短き命を終える。
吸い寄せられるように一点に注がれる数多の視線。
息を呑むことすら躊躇われる永遠にも似た刹那の静寂。
張り詰めた糸をそっと手繰りよせるように愛しい旋律を響かせる。
やがて中空に飛散した息遣いが静かに舞い降り大気を満たしはじめる。


胸の中の想いが言葉から零れ落ちる。
声を上ずらせながら深々とお辞儀をする姿。
言葉の端々に滲む気負い 充実感と微かな焦燥。
潤んだ瞳に映った世界はどうでしたか。
その手でぎゅっと握り締めたものは何ですか。
人知れず手放してしまったものは何ですか。


2月25日から始まった「101回目のKISS」ツアー。26日の夜公演に行ってきました。
セットリストに賛否両論あるようですが、それをしてライブの素晴らしさが減じられることはありません。「歌で勝負したい。目を閉じていても楽しめるライブにしたい」、その彼女の想いは着実に実を結びつつあるように思われました。特にメロン記念日と共にアカペラで披露された『ドッキ!ドキLOVEメール』と、『100回のKISS』のブレイク後のアカペラ独唱は観る者の胸を打ったに違いありません。コーラスの関係からか原曲のキーより1音下げた(らしい)前者で、全体のリズムキープのためなのか彼女だけが裏拍で取っていたのを覚えています。彼女のタイム感や声・歌唱法が要因で、『奇跡の香りダンス。』以降(『風信子』除く)、良くも悪くも楽曲との乖離が進んでいるように思える昨今、現在の彼女にとって実は最も適したアレンジ・メロディであるのかもしれません。先日のラジオでアカペラは緊張すると嬉しそうに述べていたように、今ツアーにおける挑戦のひとつであるのでしょう。知らんけど。穿った見方をすれば、これらは既に行われたことをなぞっているにすぎず独自性に欠ける気もするのですが、しかしそうした邪推を払拭して余りあるアクトでした。基本的には「陽」一辺倒でありながら、その中でガラリと世界を変えうる、更に言えば力でねじふせる采配はお見事です。ともすれば青臭くも思える矜持を大切に抱いた松浦亜弥の姿が確かにそこにありました。・・・キモい。


※昨日の補足にもならぬ補足。
件の「熱愛スクープ」のいかつい写真をを見るたびに笑ってしまうくらいですから、昨日に引き続き自分は存外に落ち着いるようで、アイドルも大変だなぁと要らぬ同情すらしはじめる次第。恋人の一人や二人いるのは自然なことであり、多忙を極める中、好きな人の所へ足しげく通うなんて微笑ましいじゃないですか。恋する女は美しい。時に周囲を省みず突っ走る(彼女はその傾向が強いと思う)ことは、程度の差こそあれ誰しも身に覚えがあるはずです。明るみに出たからといって彼女が変わるわけではないのですから、改めて理由付けをする必要もなく、ぼんやり観てるだけの自分は今までどおりってことです。『渡良瀬橋』リリース時に盛んに述べていた「18年生きてきた中での最大の悩み」について邪推するのも一興ですが、下衆の勘繰りでしかないのでやめておきましょう。だがしかし、今後どうなるかは知らないけれど、以前からほのめかしてる早期引退はもう少し待っていただきたい。生演奏ライブを実現してからでも遅くはない、これからですぜ旦那。と思ってしまうのはファンのエゴ。彼女が幸せであるならばそれでいいのですが。いやー何だか面白くなってまいりました。マジで。