MAN DRIVE TRANCE@LIQUID ROOM ebisu

NATSUMEN
ギター×2・ベース・ドラム・キーボード・サックス×2・トランペット編成。
クリムゾンやマルク・デュクレを彷彿させるギターリフに、メタルさながらの迫力で変拍子を叩きだすドラム。その変拍子とホーン隊のリフとを意識的にずらしながら構築していく緻密なアレンジは、トランスというよりはどこかプログレっぽい。それに限らず様々な要素が混在していそうです。タイプが異なるとはいえ、ROVODCPRGを何度か観てきた者としては、やや荒削りでチグハグな面があるような気がしないでもないのですが、その一方であまり類のない個性的なバンドではなかろうかとも思った次第です(何様?)。かっこいい。紅一点のギタリストに「こんなに大勢の人達の前で演奏できて嬉しい」と満面の笑顔で言われた日にゃあ注目しないわけには参りません。1stアルバムが発売されるらしいので購入してみようかと考えています。


Joseph Nothing
設置されたブース内でのDJプレイ。その脇で別の人が蛍光塗料を用いて即興でガラス板に絵を描き、それをリアルタイムでVJがスクリーンに映し出すというコラボレーション企画のようでしたが、肝心の絵の取り上げられる回数が著しく少なかったせいか不発ぎみ。描いた絵をタオルで懸命に拭き取る様が何とも切ない。夢心地なブレイクビーツに三味線の音色をサンプリングしたりするなど茶目っ気たっぷりの演奏でした。


ROVO
ギター、バイオリン、キーボード、ベース、ドラム×2編成。
キーボード奏者の中西氏脱退後、6人編成での初ライブ。どうなるものかと注目していましたが、何のことはない、いつもどおりのハイレベルな演奏でした。ROVOといえば、ストイックなまでの抑制と、それを解き放つ瞬間の恍惚を自在にコントロールする大人の演奏が最大の特徴であり、ゆえに「宇宙」と評されるほどの唯一無二なサウンドであるのですが、やはりその点に変わりはありません。洗練具合が尋常でなく、申し訳ないけれども前座の演奏が瞬時に霞んでしまいました。とは言っても、キーボードが一人減ったのですから、そのつもりで臨めば、たしかに流星群の如きトランシーな要素はやや後退しているような気がしないでもありません。しかし、そのぶん個々の楽器の音色がより明確になり、言葉にしがたい一体感はそのままに、どこか骨太というか肉感的になったような印象を受けます。その要因を強いてあげれば、いつになく熱気を帯びていた勝井氏のバイオリンの音色や、符牒音の役割を果たすと共に各自の演奏を黙々と繋ぎとめていた原田氏のベース音に求められるでしょうか。知らんけど。芳垣氏と岡部氏のツインドラムも、息が合っていると一言で表すには申し訳ないほど冴えわたっていましたし、頂点に向かってにじり寄っていく山本氏のギターカッティングも圧巻であり、やはり凄いバンドだなぁと溜め息を一つ。『KHMARA』、『CISCO』を聴けたのも嬉しい限りです。
小耳に挟んだ噂だけを頼りにフラフラと日比谷野音に赴き、その時の彼らの演奏を聴いて一発でファンになってから、かれこれ1年が経とうとしています。今回で3度目のライブになるのですが、実はとんでもないものを目にしているのではないかと改めて実感すると共に、同時代にあって実際に生で体感できることの幸運に感謝する思いが強くなったのでした。