渋さ知らズオーケストラのライブに行ってきました。“たった”20人しか演奏者がおらず、また怪しすぎるダンサーも2人だけで、意味不明なハイテンションコントもなく、したがってこれまで自分が観てきた中では随分質素でしたが、結局は何の問題もありませんでした。ありすぎて目立たなかっただけの可能性はなきにしもあらず。ちなみに比較的ジャズ寄りのセットリストだった・・・とは隣の観客の弁。そうなんだ。
前回と比較すると、なぜかサックス隊の数が減り、その影響なのか、バイオリンとピアノが増えていました。また、事前に告知されていたメンバーの内橋和久氏の姿がなかったような気もしましたが、このバンドに関しては細かいことを気にしていてはきりがありません。自分が気づいていないだけで、おそらく他にも欠けているはずです。さらには、アンサンブルが揃っていようがいまいが、そんなことは知ったこっちゃありません。極論すれば、楽しむべきはアンサンブルの妙味ではなく、いつ、だれが、いかに面白い、または下らない茶々を入れるか、の部分なのです。誰かのソロが始まろうとも、すぐにあちこちからてんでバラバラに音が鳴り始め、1分もすれば実質ソロでなくなってしまうこの不思議。テナーサックス奏者の御大・片山広明氏は、自らがソロを取るときよりも他人の演奏に茶々を入れるときのほうが明らかに活き活きとしています。そして、ライブ中に酒を呑みすぎてベロベロになったダンドリストの不破氏が、その場の思いつきだけで発する理不尽な指示に対してメンバーが浮かべる驚愕の表情と、それとは裏腹に飄々と応えきるさま、あるいは上手くごまかすさまに注目するのがよいと思うのです。今宵は彼の要求が一段と理不尽であったらしく、頻繁に楽曲のテンポを変更するためメンバーが困惑の苦笑いを浮かべていました。ステキすぎる。以上のことから、ハンカチの四隅が揃っていないと気が済まない人や、使用済みのおしぼりを丸めずにはいられない人にはお勧めいたしません。自分はそのようなできた人間ではありませんので、アホでグダグダなライブが性に合っており、また足を運びたくなったのでした。まもなくヨーロッパツアーがあるそうなので、はりきって日本の恥を晒してきてください。我が国のクレイジーな音楽とエキゾチックなダンスを異国人に知らしめてやろうではありませんか。ただし根本の部分で誤っていますが。
さて、観るたびに思うことなのですが、キャパが100人程度でしかない新宿ピットインで、これだけ演奏者の数がいるにも関わらずチャージは3000円ぽっきりでもよいのでしょうか。しかもワンドリンク付き。食えているのかどうかが他人事ながら心配です。なので、モーヲタ諸氏のみで会場を埋めることが自分の当座の夢とあいなりました。全員でヲタ芸を打てば、演奏者全員に感激されること請け合いです。おそらくステージで踊らされます。むろん自分は参加しませんが。