我が愛しのCDウォークマンが微動だにしなくなりました。少し前からリモコン部分の接触が怪しくなってはいたのですが、本体には影響なかろうとタカをくくった矢先の急逝。丁重に取り扱っていたとは言い難く、天寿を全うできたのかどうか甚だ疑問なれど、なだめすかしても叱りつけても返事が一向に返ってきませんし、ならばと手を尽くして介抱してみたものの遂に息を吹き返すことはなく、ご臨終と判断せざるをえませんでした。享年2歳。思えばあまりに短い生涯でありました。南無。


一抹の後ろめたさを覚えつつも、体験せずして言われるがままにCCCDの類い(じきに消え去るでしょう)に嫌悪感を抱くなど片腹痛いたいだとか、時代の流れに乗っておかねばだとか、誰に聞かすでもない言い訳をブツブツ唱えながら、先日ついにMP3プレイヤーを購入しました。いちどきに聴ききれぬほどの楽曲を持ち歩くことに何の意味があろう、と当初は懐疑的であり、また音楽を聴く以外の用途を考慮していないこともあって5Gの製品を選択したのですが、いざそのオモチャを手に入れた途端、さっきまでの考えは消し飛んでしまいました。自分の持つCDの全てをMP3化して詰め込んでしまおう。そして、MP3化するのに意外に時間がかかることを知って気が遠くなりつつも没頭。しかしながらその場合、容量が5G程度では全く足らず、購入一日目にて早くも心中で後悔の嵐が吹き荒れることに。しくじった。全てを収めたところで聴くはずがないことは承知しているし、気分に応じて中身を入れ替えることなぞ造作もないことであるにも関わらず、なぜか悔しい。また、やたらめったらに圧縮しているとはいえ、CD音源が僅かなデータに置き換えられてしまう事実を今さらながらに見せ付けられて少し味気なく思ったりもしますが、それでも便利であることには違いなく今のところ満足しています。


一部とはいえ、周囲に転がっていたCDを手当たり次第にぶち込んだためか、シャッフル機能によるランダムな選曲が妙に面白く感じられ、次はどの曲がかかるのだろうかと人知れずドキドキしてしまいます。てんでバラバラであるため、よりによってこの曲かよ、センスねーなと詮なきことを思うことも多く、また、なかなか聴きたい楽曲に到達しないことに時折イラつきもするけれど、なんだかんだで結構楽しんでます。単にブックマークを作成すればいい話なのですが。
その機能を使うとき以外は、以前に松浦亜弥が出演した「夢・音楽館」の音源を主に聴いているような気がします。村田陽一氏率いる猛者ビッグバンドに臆することなく堂々と歌いきった彼女の姿を脳裏に浮かべ、そこで歌われた『100回のKISS』での少し粘りけのある歌声と、甘いギターの音色を耳にするたびに胸が熱くなってしまいます。我ながらキショイと思うけれども、自分にとっては、代々木スペシャルに匹敵するほどに衝撃的な出来事でしたから仕方ありません。そして、この曲の直後にトム・ウェイツの『Closing Time』が偶然に選曲され、何といえぬ風情を醸します。そして、その後は本家・森高千里の歌う『渡良瀬橋』。ちきしょー、たかがHDの分際で粋な計らいをするなぁ。奇跡。もう2度とはありますまい。
・・・やはり使い方を誤っているような気がしないでもありません。