妙に馬の合う女友達ができた。互いに音楽を好んで聴くことを知って、すぐに意気投合した。音楽に対する造詣の深さは二の次であり、その点で言うと僕などは彼女の足元にも及ばない。だから、あくまできっかけに過ぎない。
それでいい、それがいい。


日常の内に発見した、些細ではあるけれど奇矯な自らの振る舞いについて話題になることが多い。思い返せば、いや思い返すまでもなく実にくだらない内容ばかり。それでも彼女が心から笑ってくれることを知っているから、考えあぐねることなく自然に言葉を継ぐことができる。それが心地よい。彼女も似たようなことを自分に言ったことがあるので、もしかすると互いに似た感性を有しているのかもしれない。けれどそこに特別な感情が入り込む余地はない。おそらく彼女もそうだろう。
それでいい、それがいい。


いつも息せき切って話しかけてくるものだから何事かと聞き耳を立てる。今日は自宅の洗濯機が壊れた話だった。絵に書いたような出会いを期待してウキウキとコインランドリーに出かけてみたものの、股引姿のおっさんしか来なくてがっかりしたことを妙に活きいきと語る。いつになく瞳を輝かせているので、なんだ楽しかったのかと問うと、いやそうでもなかった、と笑顔のままにのたまう。よくわからない。
それでいい、今はそれがいい。